品詞メモ

はじめに

単語の分類法としてよく利用されている「品詞」についてちょっとメモ。

【以下、「基礎日本語文法-改訂版-」(益岡・田窪共著)がベースの文、語、品詞について】

1.文

1-1.文とは
  • 言語表現の基本的な単位
  • 文章や会話は、複数の文の組み合わせにより構成される
1-2.文の基本構造
  • 述語
    • 文末の位置で、文の大枠を決定
    • 「家を(建てる)」など、特定の事態(動き(動的事態)、状態(静的事態))を表現
  • 補足語
    • 述語が表す意味を補う働きをする
    • 「(大工が)(家を)建てる」など、動きの主体、対象などを表す
  • 修飾語
    • 付加的な情報を加えて、より精密な記述を与える
    • 「家を(ゆっくりと)建てる」など、より詳しく説明される
    • 「(重い)荷物を運ぶ」など、名詞を修飾するものもある
    • 述語の修飾(連用修飾)、名詞の修飾(連体修飾)
  • 主題
    • 「Xは」の形で文の陳述の対象を表す要素
    • 「太郎は忙しい」など、Xに関する何らかの記述があるものは「有題文」
    • 「太郎が荷物を運んだ」など、主題をもたないものは「無題文」
1-3.各要素の順番
  • 日本語における「語順」は、以下の傾向がある
    • 述語:文末に表れやすい
    • 主題:文頭に現れやすい
    • 補足語、連用修飾語:主題と述語の間、前後関係は比較的自由
    • 連体修飾語:名詞の前に置かれる

2.語

2-1.語とは
  • 文を組み立てる上で一定の働きをする、文の材料
2-2.品詞とは
  • 働きの違いによって語を分類したもの(11種類を提案している)
品詞 働き
動詞 単独で述語になる「運ぶ」などの語
形容詞 単独で述語になり、名詞を修飾する語(連体修飾語)
判定詞 名詞に接続して、述語を作る
助動詞 述語に接続して、複雑な述語を作る
名詞 主題や補足語の中心の役割をする「太郎」などの語
副詞 述語を修飾する語(連用修飾語)
助詞 名詞に接続して、主題や補足語を作る・名詞間や節間を接続する
連体詞 連体修飾語(名詞を修飾する語)として働く
接続詞 文と文を接続する
感動詞 単独で文になれる
指示詞 現場や文脈における人や物を指し示す働きをする(こ・そ・あ・ど)
  • 指示詞は上の分類法とはちょっと違った視点での分類
2-3.語の構成
  • 「1つの要素からなるもの」と「複数の要素からなるもの」がある
  • 複数の要素からなる場合は以下
  • 活用語
    • 文中の働きの違いで形を変える語
      • 動詞、形容詞、判定詞、助動詞
    • 活用語幹:変化しない部分
    • 活用語尾:変化する部分
    • 活用形:「活用語幹+活用語尾」の種々の形
    • 例:食べる、食べろ、食べよう、食べれば
  • 派生語
    • 特定の語に別の要素が付加してできる語
      • 接辞(語幹の前は接頭辞、語幹の後ろは接尾辞)
    • 例:寒い+さ=寒さ
  • 複合語
    • 2つ以上の語が結合してできた語
      • 基本的に名詞。動詞、形容詞もある
    • 例:勉強+机=勉強机、腰+掛ける=腰掛ける、粘る+強い=粘り強い

【個人的メモ】

  • 基本的には、どんな品詞体系を使ってもよくて、「形態素解析結果を使う、後の処理で必要な情報か?」「素性や潜在クラスとして利用する場合、有効であるか?」などがポイントになるよう(たぶん)
  • 例えば、
    • 「名詞、それ以外」(2値分類)
      • モデルが単純すぎて、精度が出せないかも
    • すごい複雑に細分類した品詞体系
      • 十分な量のコーパスの準備が必要、複雑な品詞体系(複雑なモデル)は、データスパースネスや過学習の問題にもつながる可能性がある、、、
    • 教師なしなどで自動的に生成されたクラス(≒品詞?)
      • 解析結果がうまく利用できない(どのような特徴を持つのかがわからない)
  • とか、、、
  • 適切な品詞セットを選ぶのが重要ですね